【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「じゃあ、お疲れ」
 
「うん、お疲れ様……」

 背を向けて去っていく北山くんの姿を遠目で見つめる私は、北山くんがどこか寂しそうにも見えた。

「……はぁ」

 千歳がここまで北山くんを嫌う理由も分からないけど、多分私のことが絡んでることは想像出来る。

「あ、千歳!」

「お、桃子。お疲れ」

「お疲れ様! 今日も残業?」

「ああ、今日も残業」

 そっか、じゃあ今日も一緒に帰れないんだ。ちょっと寂しい……。

「なんだ。寂しいって顔してるな」

「……別に!そんな顔、してないし」

 だって千歳は私の夫だし、夫婦なのにあまり一緒にいられないって寂しいしかない。

「ほんとツンデレだな。可愛いかよ」

「か、可愛いとか言わないでよ……恥ずかしい」

 照れている私の表情を見て、千歳は嬉しそうにニヤニヤと笑っている。

「桃子のそういうとこ、ほんと好きだわ」

「……ん、ありがと」

「でもツンデレな桃子が、一番好きだけど」

 つ、ツンデレな私が好きって……。なにそれ!

「もう、私はツンデレじゃないってば」 

「いい加減認めろよ、ツンデレだって」 

「絶っ対に認めないから」

 私はツンデレじゃないもん!
< 63 / 210 >

この作品をシェア

pagetop