君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
「みちる、朝ごはんにしよう」

「はい」

窓際のテーブルにセッティングされた豪華な朝食に、目がキラキラした。

「おいしそうですね」

彼の向かいに座ろうとすると、ぐいっと腕を引っ張られる。

「俺の上においで」

「えっ」

有無を言わせず、私は彼の膝の上に横向きで座らされた。

「口を開けて」

「えっ、はい」

なにがなんだかわからないまま言われた通りにすると、ホイップクリームたっぷりのパンケーキを口に入れられる。

郁人さんは手ずから私に食事をさせようとしているのだ。

「おいしい?」

「はい、あの」

「ん?」

「自分で食べられます……」

腰を抱きかかえられながら食べさせてもらうなんて恥ずかしくてたまらなかった。

郁人さんは笑みを深くして、楽しそうに私の口にフォークを運ぶ。やめる気はないようだ。

サラダやフルーツ、フレッシュジュースまで飲ませてくれる。

「郁人さんは食べないんですか?」

「俺はあとでいいよ」

食事の合間に髪や頬にキスまでされ、私は動揺を隠しきれなかった。

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