君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
戸惑いを隠せずにいると、彼が続ける。

「ああ。天気もいいし、海沿いのレストランでランチでもしよう」

まるでデートだ。

「はい。行きたいです」

理由はどうあれ、郁人さんとふたりで出かけてみたかった。

海に行くのもかなりひさしぶりだしわくわくしてくる。せっかくの機会だから、目いっぱい満喫したい。

すぐに準備をして、郁人さんの車で海に向かった。

いつもは秘書の牧野さんが運転しているから、郁人さんがハンドルを握っている姿が新鮮だ。

高級車のエンジン音は驚くくらい静かだった。ほとんど振動を感じないのは、彼の運転のうまさもあるだろう。

まるでリビングにいるようなゆったりした心地で一時間走行すると、一面の青が見えてきた。

「わあ、きれい」

窓を開けると海風が入ってきた。

車は大きな四階建ての建物の駐車場へ向かう。

一階は美術館で、二階はカフェ&ブラッスリー、三階と四階がレストランになっているそうだ。

エントランスロビーで、本日は四階が貸し切りだと言われたので、三階に向かった。

おしゃれなオーシャンビューのテーブル席に案内され、早速ランチを注文する。

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