夏色モノクローム
「――なんでかな。おまえには、何でも話しすぎちまう」
「いいですよ。私も、もっとあなたのこと知りたいですし」
「そっか」

 目を合わせると、彼は多幸そうに目を細めてみせる。

「不思議だよな。――ずっと、あの三叉路で写真とってるお前が、すげえ眩しく感じた」
「うん」
「少し話しただけで、俺のこと、よく理解してくれて。そのくせ、猫みたいに自由で、ずうずうしくてな」
「猫……」
「好きなことを恥ずかしげもなく好きってちゃんと言うおまえに、すぐに憧れたよ。……毎日毎日、懲りずに。こんな偏屈な俺のこともさ。気にしてくれて」

 はああ、と大きなため息をひとつ。

「あんな絵も。描くつもりなかったのに。手が、勝手に動いてた」

 あの絵が、かなり時間をかけて描かれたものであることはよくわかる。
 里央が思っていた以上に、ずっと前から、彼も里央のことを気にしてくれていたらしい。

「……好きな子に。手を出しちゃいけない女の子に、会うたびに好きって言われてみろ。俺が毎日どれだけ浮かれて……どれだけ悩んだと思う」
「ふふっ」
「はあ。――これは、腹をくくらねえとなあ」

 そう言いながら志弦は、天井を仰ぎ見る。
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