イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
「あかり! ご飯よ」

一階から聞こえてきた母親の声を聞いて、ハッと目が覚める。

東京のアパートとは違う木目の天井を見て、ここはどこだろうと一瞬戸惑ったけれど、祖父の家に引っ越して来たのだとすぐに思い出した。

宗ちゃんが取りつけてくれた壁がけ時計の針は、午後六時半をさしている。

夕食の手伝いもせずに眠ってしまったことに、うしろめたさを感じつつ急いで階段を下りた。

居間のテーブルの上には枝豆と冷奴がすでに用意されており、ひまりを膝の上に抱いた祖父の横で宗ちゃんがグラスにビールを注いでいる。

「あかり。天ぷらが揚がったから運んでちょうだい」

「うん」

隣り合わせになっている台所に行き、海老と茄子とししとうの天ぷらが盛られた大皿をテーブルの上に置く。

今日の夕食のメニューは天ざる蕎麦。

「いだだきます」と、みんなで手を合わせて料理を口に運ぶ。

大勢で食卓を囲むのは久しぶり。和気あいあいとしたひとときは楽しいはずなのに、気分が晴れない。
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