イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
「ごちそうさま」

「あら? もういいの?」

普段より小食の私を心配するように、母親が眉根を寄せる。

「うん。机の中を整理したいから部屋に戻るね」

「わかったわ」

食欲がないのを誤魔化すために作り笑いをすると、居間を後にして二階に駆け上がった。

机の中を整理したいなんて嘘。心の中でいまだに燻り続けている不満や不安を母親にぶつけてしまうのが怖くて、みんなの前から逃げ出したのだ。

母親は休む間もなく家事をこなしているし、ひまりもすでにおじいちゃんに懐いている。私だけが新しい環境を受け入れられずにいるのが情けなくて、涙が込み上げてきた。

ウジウジしても仕方ないと頭ではわかっているのに、どうしても前向きな気持ちになれない。

大粒の涙が瞳からこぼれ落ちるのを止められず、部屋の片隅でひとり膝を抱えてすすり泣いていると、階段を上がって来る足音に気づく。

もしかしたら食欲がなかった私を心配した母親が、様子を見に来たのかもしれない。

泣いていた理由を聞かれても、複雑な気持ちを説明するのは難しい。

急いで涙を拭うと、思いがけない声が耳に届いた。
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