イケオジ紳士は年の離れた彼女を一途に愛し抜く
「失礼。俺の婚約者になにかご用でしょうか?」

「婚約者?」

「ええ。彼女は俺の大切な婚約者です」

向かい合って会話を交わすふたりの様子を、宗ちゃんの背中越しから見つめる。

堀内君が驚くのも無理はない。だって当事者である私も『婚約者』と言われて戸惑っているのだから。

もしかしたら宗ちゃんは私がナンパにあっていると勘違いしていて、堀内君をけん制するためにわざと『婚約者』という言葉を口にしたのかもしれない。

「宗ちゃん、あのね……」

私たちは高校の同級生でバッタリ会っただけだと説明しようとした矢先、堀内君がペコリと頭を下げた。

「すみません! 婚約者がいるって知らなかったので。じゃあ俺はこれで失礼します」

貫禄がある宗ちゃんに尻込みしたのか、堀内君が私たちの前から逃げるように去って行く。

私と宗ちゃんが婚約していると信じたまま姿を消した堀内君に対してうしろめたさを感じていると、ひまりの声が耳に届いた。

「ねえ、宗ちゃん。お姉ちゃんと結婚するの?」

一難去ってまた一難。

私たちが婚約していると、信じてしまった人がもうひとりいることに気づく。
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