婚約破棄したい影の令嬢は
「‥っそれは、やめて下さい」
「‥はぁ?聞こえないなぁ」
「やめて下さい‥!」
「はっ‥それが人にモノを頼む態度か?」
「‥‥‥、お願いします」
フィリップはこうして敢えてディアンテが嫌がる事をしてくる。
無反応なディアンテが唯一、反応するのが家族の話だからだ。
怒りで震える手を握るディアンテを見てフィリップは見下したように言い放つ。
「なんで俺がお前の言う事を聞かなければならないんだよ!?」
「お姉様は愛する人が居ます‥なので、それだけは」
「この俺に指図するな‥!!」
ーーーバシャ‥!!
フィリップはディアンテが飲んでいた紅茶のカップを取ると、ディアンテの頭に紅茶をかけたのだった。
頭から首に掛けて流れる液体‥。
冷めた紅茶だったから良かったが、もし淹れたての紅茶だったらと思うとゾッとしてしまう。