婚約破棄したい影の令嬢は
フィリップは悪びれもなく「フン‥ッ」と吐き捨てて、何処かへ行ってしまった。
ディアンテは衝撃すぎて暫く動けなかった。

早く紅茶を拭き取らなければならないのに‥。


「‥‥」


(‥‥最悪だわ、本当)

ディアンテからポタポタと紅茶が滴る様子を見て、サムドラ公爵と公爵夫人は悲鳴を飲み込んだ。


「‥っ」

「デ、ディアンテ‥!」

「大変‥早く拭くものを」


ディアンテの様子に、呪われたらどうしようとでも思ったのだろうか。
珍しく焦った様子でタオルを用意するように侍女に指示を出す。


「‥レミレ、ドレスを貸してあげなさい」

「嫌よッ!私のドレスはディアンテには似合わないもの!お母様のドレスでいいじゃない!!」

「ディアンテは私より背が低いから‥」

「絶対に嫌よ‥!地味なのがうつるじゃない!」

「し、しかし、このままで帰す訳には‥!」


どうやらレミレはディアンテが馬鹿にされ過ぎている為、ディアンテが年上という事実すら忘れているらしい。
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