婚約破棄したい影の令嬢は
始まりの音楽が鳴る。
ディアンテは目立たないように、壁際に隠れるようにして移動した。


(ふふっ、もうすぐ自由なのね‥!)


自らを落ち着かせるように胸元に手を当てて言い聞かせていた。
けれど、そんなディアンテの願いは簡単に打ち砕かれる事になる。



「ーーーディアンテ・アールトンは何処だッ!」



フィリップの声が会場に響き渡る。 
そこにはフィリップと腕を組んでいるティファニーの姿があった。

(うわっ、最悪だわ‥!)

ディアンテは焦ったようにフィリップの元へ向かった。
これ以上、名前を叫ばれ続けたら堪らない。

派手好きのフィリップが考えそうな事だと思った。
けれど、こんなところで婚約破棄をされると思わずに、ディアンテは驚いていた。

(普通、卒業パーティーの最中に婚約破棄する!?‥なんて馬鹿なの!?)

ずっと目立つことを避けてきたディアンテ。
こんな騒ぎを起こせば必ず‥‥。
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