婚約破棄したい影の令嬢は
ーーーそんな時だった。



会場の真ん中‥。
絶対に関わってはいけない人物の後ろ姿が見えてしまった。


「‥‥ぁ」


ディアンテは目を見開いた。
正しくは、衝撃すぎて目が離せなかった。
何も変わらない‥あの時と同じ姿。


2人にはディアンテがショックを受けているように見えるのだろう。
そんなディアンテにニヤニヤと顔を歪めながら近づいてくる。

これが何を引き起こすのか‥‥ハッとしたディアンテは瞬時に判断する。

(まだ気付かれていない‥!大丈夫よ、落ち着いてディアンテ!!)

今、注目されて見つかってしまえばディアンテの努力は台無しだ。
どうやら人生最大の危機は、ディアンテの知らない間に迫ってきているようだ。


このままだと最悪の事態が起こってしまう。

ディアンテは急いで口元に指を立てた。


「しーっ!黙ってください」

「‥‥子爵家ごときが俺に指図するな」

「お願いします!今だけは静かに婚約破棄してくださいッ!!」

「はぁ!?何を言ってるんだ?今から婚約破棄を‥っ」

「わかりました、婚約破棄ですね!勿論、了承します!今までありがとうございました!慰謝料はいらないので2度と関わらないで下さい!さよなら‥!」
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