婚約破棄したい影の令嬢は
ティファニーの猫撫で声に、フィリップは小さく首を振った。
震える手でティファニーを止めようとするが、そんな事は全く気にならないティファニーはアルフレッドに手を伸ばす。

そしてアルフレッドに触れようとした時‥‥アルフレッドの隣にいる御令嬢に息を呑んだ。

ティファニーは本能で悟った。

敵わない、と。
けれどティファニーのプライドがそれを許さなかった。

本来はティファニーがアルフレッドの隣に居るはずなのだ。
完璧すぎる王太子であるアルフレッドの隣には、完璧なティファニーが立つべきなのに‥。

(何なのよ、コイツ‥!!)

磨き上げられた美ではなく、自然と咲き誇る花のようだった。
居るだけでその場の視線を惹きつけてしまう。
あまりの透明感にティファニーは言葉を失った。

それこそアールトン家のメロディやマリアムにすら、全く引けを取らない。
ライラックの瞳と目が合うとティファニーは一歩後ろに下がる。

無意識に尻込んでいたティファニーはハッとして、震える唇を開いた。
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