初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
皇太子というご身分でクリスティン様をお調べになり、多忙さで学院にも通えないというのも、
不思議に思っておりました。


「それは私も同様です
 陛下にお頼みしました、あの女の最期が
見たい、と」


最期が見たい……
エドガー様がそれを望まれるような真似を、
クリスティン様はこの国で為さったのでしょうか?

私が黙ってしまったのでエドガー様が続けられました。


「クリスティンが帝国に与えた傷を、皇帝陛下は
 忘れていません」


留学前にクリスティン様の話題がいつ出るかと
私は危惧しておりましたが、
こちらに参りますと、どなたも私にあの方の事を尋ねるような事はございませんでした。

それは同じ国から来た私にも、その憎しみは募っていたのかも知れません。
ですから、私はどなたからもお声は掛けられなかった。
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