初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました

理解が早くて助かる

それは子供が出来ると消え、その子に移り、
次の世代に引き継がれる力……


「もうクリスティン様に力はなくなり、それは
二度と戻らないと、いうことでしょうか?」

「多分ね」

「……次の監視対象はあの方のお子様ですか?」


私の問いに答えられることはなく、
殿下は『黒薔薇』に相応しい、鮮やかな微笑を
見せられました。


エドガー様は立ち上がり、お茶のお代わりを取りに行ってしまわれましたが、
いつもの事なのに、私にはその行動は何か聞かれることを、回避されたように見えました。


「クリスティン様とノーマン様は、今はどちらにいらっしゃるのですか?」

「君に婚約解消されたノーマンは、父親から勘当されて平民になった
 そして騎士団を解雇されて、クリスティンに
縋ったが棄てられたよ
 夏が終わり、あいつはもう使えない男になったから」


知りませんでした。
誰も私にはその事を、ノーマン様の事を、
知らせなかったから。

邪魔者の私が消えたことで、おふたりは悲劇の
恋人同士ではなくなり、結ばれたのだと。
私を傷つけまいと、皆様が手紙に綴らないのだと
思い込んでいたのです。

私はこうして、殿下からクリスティン様の計画を知らされましたが、
ノーマン様は気づくことなく、侯爵家へ婿入りをされるのだろうと、思っていましたのに……
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