初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
ただ、それだけだ。
ブラッドと隊長がどんな間柄だったかは知らない。

隊長は37歳の平民出身者だったので、第3所属の平民騎士達にとって希望の星だった。
がんばって結果を残せれば、平民であっても40になる前に隊長になれる。
隊長はそんな夢を見せてくれる希望の星だったのだ。

そんな隊長とブラッドがどう繋がっていたのは、知るよしもなかったが
俺は彼のお眼鏡には叶わなかった。

(どうでもいいか……
2年経ったら俺は辞めるんだから)

それまで隊長から冷たい態度を取られても知らん顔してればいいと、
開き直って仕事をこなしていたが、さすがにこの時期に勤務シフトの変更を言い出すのはまずいことだと、わかっていた。


「夏は皆休みたいんだ
 今になってシフトを減らしてくれとは
 どういう了見だ」

「申し訳ありません」

「謝るな、理由を言え」

「個人的な理由としか言えません」

「却下、休みを増やすことは認めん」


ますます騎士団にいづらくなると思った。
俺が2年しかいない事、退団したら婿入りして
次期伯爵になる事を、
誰かが聞き付けて隊内に広めたせいで、
俺は『腰かけ』と、裏で言われている。
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