【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)
「なんなんだアイツは。エルモに意地悪ばっかりしやがって! 騎士は殴るとあとが大変だから、よけいにむかつく!」

 グルもアルベルトにイライラさせられていた。ほんとうに彼は何を考えているのかわからない。

 お相手が欲しいのなら。伯爵家で、サーティーアの騎士団に所属しているのだから、社交界にでればすぐにお相手は見つかる。

 さっさと、よいお嬢様をみつけて婚約、結婚なりして欲しいところ。

 もしかして。婚約者に婚約破棄され、リリアにも振られて、かまってちゃん? 寂しいとか? ――そんなの迷惑。
  
「グルさん、待ち合わせの場所かえる?」

「そうだな、お揃いのペンダントがあれば場所がわかるしな。店主に頼んでパン屋の裏口から出られるようにしてもらって。本屋のひとつ向こうの、肉屋の前で待ち合わせは?」
 
「いい案だけど。裏口からだと、おじさんとおばさんの住居を通ることになるから……迷惑だと思う」

「……そう、だよな。魔法でエルモの姿を変えるか」
 
「え!」

 ――魔法ってそんなこともできるの? 

 目をパチクリさせて驚いていると。グルはニシシッと笑い「せいぜい髪色を変えるとか、瞳の色が変わるだけどな」と笑った。  

 それでも、欲しいとグルにお願いしたら。後日、変身用の魔導具を作ってくれることになった。

 できるまでは絡まれるのだけど……。
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