待てない柑士にひよりあり ~年上御曹司は大人げなくも独占欲が止められない~
そして2日後の週末にはすぐに結婚前提のお見合いは決行され、そこに現れたのは――。
「あの時の……!」
思わず指をさすと、切れ長の目に嵌っている強い黒い瞳にさらに睨まれる。
間違いなく、あのとき、パンプスを当てた男性だった。
「ISEZAKIホールディングス副社長の伊勢崎柑士です」
しかもその人は私の勤める会社の副社長になる男性だったのだ。
私は驚いて、思わず隣にいた兄を見た。
兄は、柑士さんと軽い挨拶を交わしている。
「知り合い、だったの……?」
「言っただろ。聞いてなかったのか? しかもひよりの会社の副社長になるんだろ」
兄が何か話していたが詳しく聞いていなかった。
(でも、どう考えても会社の規模が不釣り合いすぎる。なんで……)
混乱する私をよそに、私が結婚にすでにオッケーしていると知っている先方は、父と兄と、結婚について早々に話を進めていた。
さらに、話しは実家の会社の経営再建についてまで及んでいて、私はもうこれが止められる話ではないことを感じる。
私は頷くことも、断ることもできずに、ただ黙ってそこに座っていた。