怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「名字については、仕事ではわかりやすいように旧姓を使っているだけです。結婚指輪は……していない夫婦もいるでしょう? とにかく、婚姻届を出したんだから指輪がなくても私は既婚者なんですよ」
「へぇ、じゃあ今は“桃田”じゃないのか。なんていう名前に変わったんだ?」
彼は私がウソをついていると決めつけているようで、さあ言ってみろとばかりに気味の悪い笑みを浮かべた。
なにげなく腕組みをしたその姿も私には高圧的に見える。
「“葛城 冬璃”になりました」
「え? それって……だれと結婚した? まさか……」
「葛城 束縒です」
私が愛想笑いの笑みもたたえず、至極真面目に伝えたせいで、ウソではないと彼も気づいたようだ。
しばし唖然としていたが、彼は次第にイライラとした感情を出すかのごとく顔をしかめた。
「サンセリテホテルのCEO? そいつとはただの幼馴染だと言ってたのに、どうして結婚してるんだよ! 君を振った俺へのあてつけか?」
「あてつけで結婚なんてしませんよ。あなたとは関係ありません。それと、私の夫を“そいつ”呼ばわりしないでください」
「じゃあ俺と二股をかけてたわけか。同時進行じゃなきゃ俺に振られたすぐあとに結婚するのは早すぎるからな!!」
私は彼のどこが好きだったのだろう。
こんな暴言を吐く人ではなかった。紳士的な振る舞いをする、知的でやさしい性格だったはずなのに。
私が憧れと恋心を抱いた“野島 憲一朗”という人は、もうどこにもいない。
「へぇ、じゃあ今は“桃田”じゃないのか。なんていう名前に変わったんだ?」
彼は私がウソをついていると決めつけているようで、さあ言ってみろとばかりに気味の悪い笑みを浮かべた。
なにげなく腕組みをしたその姿も私には高圧的に見える。
「“葛城 冬璃”になりました」
「え? それって……だれと結婚した? まさか……」
「葛城 束縒です」
私が愛想笑いの笑みもたたえず、至極真面目に伝えたせいで、ウソではないと彼も気づいたようだ。
しばし唖然としていたが、彼は次第にイライラとした感情を出すかのごとく顔をしかめた。
「サンセリテホテルのCEO? そいつとはただの幼馴染だと言ってたのに、どうして結婚してるんだよ! 君を振った俺へのあてつけか?」
「あてつけで結婚なんてしませんよ。あなたとは関係ありません。それと、私の夫を“そいつ”呼ばわりしないでください」
「じゃあ俺と二股をかけてたわけか。同時進行じゃなきゃ俺に振られたすぐあとに結婚するのは早すぎるからな!!」
私は彼のどこが好きだったのだろう。
こんな暴言を吐く人ではなかった。紳士的な振る舞いをする、知的でやさしい性格だったはずなのに。
私が憧れと恋心を抱いた“野島 憲一朗”という人は、もうどこにもいない。