怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
「三月に式を挙げるそのときに、冬璃に渡すつもりだった」

「え、家を丸ごと?!」

「簡単に言えばプレゼントだな」


 家をポンとプレゼントするなんて、普通では絶対に考えられない。
 口をあんぐりと開けて驚いていると、束縒は私の反応がおかしいのかクスクスと笑った。


「冬璃のその顔が見たくてサプライズを(たくら)んでた。なのに途中でバレるってダサいな」

「ダサくはないよ……」


 私の顔をチラチラとうかがいながら、束縒が紅茶の入ったカップに口をつける。
 私は未だに信じられなくてしばし呆然としてしまった。


「冬璃はあの家が好きだったろ? 花がたくさん咲く庭なんだ、って子どものころから言ってたし」

「そうだけど……」

「再来月の式のあと、冬璃が育った家にふたりで住まないか? 新居として」


 予想だにしなかった言葉が聞こえてきた途端、急に涙腺が刺激されて目頭が熱くなる。
 泣きそうだ、と自覚したときにはすでに遅く、堰を切ったように瞳から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。


「そんなこと……出来るの?」

「当たり前だ。だれの許可が要るんだよ」

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