怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 しばらく時間が経ち、いつの間にかデリバリーが届いていて、ダイニングに向かうとテーブルの上にはおいしそうな四種のピザが並んでいる。


「腹減ったな。食おう」

「ありがとう」


 食欲はなかったものの、とりあえず椅子に座ってピザを眺めた。
 束縒はそうとう空腹だったのか、両手を合わせた途端、真っ先にベーコンピザに手を伸ばす。


「冬璃、今日なにかあっただろ」

「……別に」

「だったらなんでさっきからずっと泣きそうな顔してるんだ」


 不意に顔を上げると、探るような鋭い視線で射貫かれた。
 泣きそうになんかなっていない。束縒にはそう見えているのかもしれないけれど。


「話したら楽になるぞ?」


 隠すつもりは最初からなかった。逆に隠そうと思っていたとしても、この件はいずれ発覚する。
 私は小さく溜め息を吐き、静かに口を開いた。


「私の実家、なくなっちゃうみたい。売るんだって」

「え?」

「うちのお父さんって、自分勝手で本当に冷たい人だよね。でも、仕方ないのかな。会社のためだもん」

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