太陽の王子様と月の御令嬢〜禁断の恋は焦ったい?〜
一瞬にしてあざと可愛い表情に戻ってから、柔かに微笑んだ。
リンナに群がる令嬢達と世間話を交わしながら歩いていくが、明らかに此方を軽蔑した眼差しで見ている。
「リンナ様、そのお隣の方は……」
「まさか、リンナ様のご友人ではないですわよね?」
その言葉にリンナはピタリと足を止めると、可愛らしい笑顔を浮かべたまま口を開く。
「ティーちゃんはね、わたくしの可愛い幼馴染だから……馬鹿にしたらブッ飛ばしちゃうぞ?」
リンナの可愛い幼馴染である筈のティアラはゾンビの如くグラングランと首が揺れている。
言っている意味が分からない御令嬢達は苦笑いをしながら「そうですわね、オホホホ」と言いながら早足で去っていく。
「マジェスト。シシ爺とティアラから許可が出たのよ?今日からバシバシ牽制しなさい」
「……はい」
「あ、そうだったわ……!大切なこと忘れてたぁ」
キュルルンという効果音と共に、リンナは鞄からある物を取り出してティアラに渡す。
「リン姉……?これは何」
「えへ、わたくしの宝物なの!可愛いでしょう?」
「…………はい、たぶん」
リンナから渡されたのは首元にリボンのついたクマのぬいぐるみであった。
あまり可愛いという概念が無いのでよく分からないが、リンナに似合うことだけは確かである。