太陽の王子様と月の御令嬢〜禁断の恋は焦ったい?〜
生まれてから武道を極めるのに忙しかった自分にとって、ぬいぐるみは無縁のものだ。
(ぬいぐるみって、ふかふかしてるんだ……)
「わたくしの大切なものだから、昼休みまで貸してあげるねぇ」
「??」
何故それを今このタイミングで渡すのか。
そして何故宝物を預けるのか、何も分からないままクマのぬいぐるみを見て頷いた。
「ティーちゃん、我慢し過ぎはダメよ?じゃあね、ばいばーい」
「…………?」
「ウフフ、また後でね」
*
そして今日も面倒な一日が始まったのだった……と思いきや、いつもより大分静かに過ごせている。
折角着替えの予備も持ってきたのに水が降ってくる事もなく、足を引っ掛けられて転ぶこともなかった。
(平和だなぁ……)
恐らくリンナと一緒に歩いていたのを見た御令嬢が、此方の様子を伺っているようだ。
それとマジェストの冷めた態度が一転して、身の回りの世話をし始めたのも大きいだろう。
いつもは五月蝿いミストとセスも見かけない。
そして絡んでもこない。
リンナの言葉を聞くに自分達の役割が終わったのだろう。
シシナードの指示ということもあり、拒否することもなく大人しくしていた。