魔法使いと監察医

蘭の問いかけに、凛都は「冬都の前世はユキヤ様で、ユキヤ様の能力を全て引き継いでいる。で、俺は前世の記憶があって、ユキヤ様の側近だった」と説明する。

その時、冬都は目を覚ました。

「……」

冬都は凛都から離れてから、少し考えると口を開く。

「さっき、ユキヤ様から元の世界に帰る方法を教えてもらったよ」

冬都の言葉に、凛都は「本当か？」と問いかけた。蘭たちは、じっと冬都を見つめる。冬都は頷いた後、口を開いた。

「……サーシャの言っていた通り、サーシャの魔法は半分成功で半分失敗した。ユキヤ様が言うにはね、それは魔法が不完全でかかっているようなものだから、サーシャの魔法を完全なものにすればいいらしい」

「そうか。その手があったか！完全なものにすれば、僕らの魔法が効く！」

アイビーの言葉に、静かに話を聞いていた紫月が口を開く。

「え、でも……アイくんの魔法、効かないんじゃ……」

「……魔法をかけるのは、アイビーじゃない。魔法をかけた本人……サーシャだ」

冬都の言葉に、サーシャは「え……」と声を出した。

「わ、私……まだ駆け出しの魔法使いだし……」

不安そうにするサーシャの手を、蘭が包み込む。

「サーシャさん、大丈夫です。あなたになら、出来ますよ」