魔法使いと監察医
「蘭の言う通りだよ。蘭たちには、僕の魔法は効かない。だけど……逆に言えば、蘭さんたち以外になら魔法をかけられる。魔法が成功するかしないかは、魔力量で変わってくるから……僕の魔力を分けてあげる」

「……」

不安そうな顔をしたサーシャの頭に、碧子は手を置いた。優しく、サーシャの頭を撫でる。

「それでも、失敗するかもしれないって思っているのね?私たちは最近魔法のことを知ったから、失敗するとどうなるのか分からないわ。けれど、アイビーくんたちがいる。心配することは、ないんじゃないかしら?」

碧子の言葉に、圭介は「そうですよ!アイビーさんを信じてあげてください!」と微笑んだ。

蘭、アイビー、碧子、圭介に背中を押され、サーシャは「私、やります!」と杖を握り直す。

「分かった。サーシャ、行くよ」

アイビーが呪文を唱えてサーシャに魔力を与えてから、サーシャは深呼吸をすると呪文を唱えた。

蘭たちの体が光に包まれ、すぐに光は消えていく。それを見たアイビーは「……成功だ」と微笑んだ。

「本当……?」

信じられない、と言いたげにサーシャは蘭たちを見つめる。アイビーは「これで、僕の魔法で元の世界に帰せるね」と呟いた。

「……よ、良かったぁ……」

ヘナヘナと地面に座り込んだサーシャの頭を、ソラと楓は撫でる。
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