大嫌いの先にあるもの【番外編】
「うーん、何というか、君が僕の知っている春音とは少し違うように見えるんだ」
「鋭いですね。実は私、5年後の未来から来たんです」
「えっ」
「冗談ですよ」
何を言ってるんだろう。
こんな話、信じてくれる訳ないのに。

「冗談なの?」
「冗談ですよ。未来から来るとかありえないですから」
「そうだよな。未来から来るなんてSF小説みたいな事ある訳ないよな」
黒須が短く息をつき下を向いた。

「どうしたんですか?」
「いや、何か引っかかるものがあって。君を春音って呼んだ瞬間、その引っかかっている物が何かわかった気がしたんだが、またすぐにわからなくなった」
「どういう事ですか?」
「何というか、この世界は現実なんだろうか。僕は夢の中にいるような気がするんだ」
「夢?」
「うん。現実感が薄いんだ。とくに美香と話している時、一度見た映画をもう一度見ているような気になってね。同じ場面をどこかで見た気がするんだ。変だよな。そんな事思うの」

もしかして、黒須も5年後の世界から来たの?
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