大嫌いの先にあるもの【番外編】
頭の中を整理したかった。
教室を出た後は黒須の研究室には行かず、人気のないクラブハウスの方に足を進めた。
黄色く葉を染めた銀杏並木があった。
今は11月。銀杏が見ごろな季節だ。
馴染みのあるキャンパスの景色にほっとする。
銀杏の木に寄り掛かって、ひらひらと落ちてくる黄色の葉っぱを見つめながら、だんだんこの世界の事がわかってくる。
中三の11月。夜の病院の屋上で私は黒須に美香ちゃんが強盗に遭う事を話した。事件の起きる12月12日、黒須が美香ちゃんとジャニスさんを会わせなかったから、強盗事件は起きなかった。美香ちゃんは今も生きていて、黒須と夫婦でいる。
そして私が大学二年生の時に、二人はニューヨークから日本に生活を移し、黒須は為替ディーラーを辞めてうちの大学で講師をしている。美香ちゃんは「Blue&Devil」の専属ジャズピアニストとして活動している。
私は相変わらず黒須に片思い中で、苦しい恋心を隠す為、極力、黒須との接触を避けているんだった。
なんて事だ。
美香ちゃんが助かったのは嬉しいけど、黒須に片思い中だなんて……。
自覚したら、苦しくなって来た。
黒須の研究室になんて行けない。今、二人きりで会ったら好きだと言ってしまう。そんな事になったら、美香ちゃんとの関係も、黒須との関係も終わってしまう。
スマホが鳴った。
黒須からの着信だったけど、無視した。
今の私は黒須から逃げるしかない。
教室を出た後は黒須の研究室には行かず、人気のないクラブハウスの方に足を進めた。
黄色く葉を染めた銀杏並木があった。
今は11月。銀杏が見ごろな季節だ。
馴染みのあるキャンパスの景色にほっとする。
銀杏の木に寄り掛かって、ひらひらと落ちてくる黄色の葉っぱを見つめながら、だんだんこの世界の事がわかってくる。
中三の11月。夜の病院の屋上で私は黒須に美香ちゃんが強盗に遭う事を話した。事件の起きる12月12日、黒須が美香ちゃんとジャニスさんを会わせなかったから、強盗事件は起きなかった。美香ちゃんは今も生きていて、黒須と夫婦でいる。
そして私が大学二年生の時に、二人はニューヨークから日本に生活を移し、黒須は為替ディーラーを辞めてうちの大学で講師をしている。美香ちゃんは「Blue&Devil」の専属ジャズピアニストとして活動している。
私は相変わらず黒須に片思い中で、苦しい恋心を隠す為、極力、黒須との接触を避けているんだった。
なんて事だ。
美香ちゃんが助かったのは嬉しいけど、黒須に片思い中だなんて……。
自覚したら、苦しくなって来た。
黒須の研究室になんて行けない。今、二人きりで会ったら好きだと言ってしまう。そんな事になったら、美香ちゃんとの関係も、黒須との関係も終わってしまう。
スマホが鳴った。
黒須からの着信だったけど、無視した。
今の私は黒須から逃げるしかない。