本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「小粒ダイヤの婚約指輪。まったく似合っていない」

「えっ......」

(背高のっぽで可愛くもない。女らしさに欠ける私がダイヤの指輪をはめても似合わないと言いたいの? いくらなんでもひどい)

こんなに失礼なことを言われたのは初めてで、真琴は怒りを覚えるよりも唖然とした。

「修平!」

真琴の代わりに関根が怒ってくれたが、背を向けた修平は足早に歩きだす。

(変わった人だとは思っていたけど、ここまでとは......)

エレベーターホールを抜けた先に階段入口と書かれたドアがある。

修平が出ていって鉄のドアが閉まる音を、真琴は呆気に取られて聞いていた。



真琴がやっと帰路についたのは、時刻が十八時を過ぎてからだ。

とは言っても一階が花福の店舗、二階と三階が住居なので外階段を上ってすぐに自宅なのだが。

今日は二時間の休憩を二回取れるはずだったのに事務仕事もしていたため時間がなくなり、早朝六時から夕方まで働き続けてクタクタになった。

玄関ドアを開けて中に入ると短い廊下が伸び、正面に居間、右に台所と浴室などの水回り、左に父の部屋がある。
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