本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
まるで真琴が守也と復縁を望んでいるかのように言われたので、焦って反論する。

「私は修平さんとの結婚生活を続けたいと思っています。さっきもそう言いました。今はもう守也くんに愛情を感じません」

顔を覆ったままの愛華から舌打ちが聞こえたのは気のせいだろうか。

信じてほしいという思いで隣を見ると、修平の目が優しく細められた。

感情を顔に出すことの少ない彼が口角を上げているので、真琴の鼓動が跳ねる。

(私の言葉に喜んでいるの?)

すぐに目元に険しさを取り戻した修平が、シクシクと泣いている愛華に言い放つ。

「俺たちの仲を裂こうと画策するな。今後も真琴を困らせるようであれば、俺への付きまといがあったことも含めて人事課に報告する」

お人好しな真琴には修平のような毅然とした態度を取ることはできそうになく、愛華の涙の量が増してしまうとオロオロしていた。

(泣いているのに、追い打ちをかけなくても......)

けれども心配は無用なようだ。

顔から手を外した愛華に涙はなく、嘘泣きだったのかと真琴は驚いた。

修平はわかっていたようで呆れている。
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