本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
愛華は鼻の付け根に皺が寄るほど顔をしかめて、どうやら猫を被るのはやめたようだ。

「最後にこれだけは教えてください。なんでマコさんを選んだんですか。結婚相手を探していたなら、私の方がいいはずです」

愛華はきっと男性にちやほやされる人生を歩んできたのだろう。

女性としての揺るぎない自信が伝わってきて、真琴は目を見張った。

(私には絶対に言えない言葉だ。胸を張れる九波さんが羨ましい)

感心する真琴とは逆に、心底うんざりしているようなため息が隣から聞こえた。

「俺は鬱陶しい女が嫌いだ。お前だけは絶対に選ばない」

「なっ......!」

ショックを受けている愛華に修平は静かな怒りをぶつける。

「真琴だから結婚したいと思った。誰でもいいわけではない。俺の妻を侮辱するのは許さない」

(俺の妻......)

言葉にされると照れくさくなり、結婚しているのだという実感が強まった。

守ってくれる言葉も嬉しく、傷ついた心が癒されていくのを感じる。

反論の言葉が見つからないのか、唇を噛んだ愛華が建物の方に踵を返す。

しかしながら納得はしていないようで、アスファルトを踏む足取りに悔しさや怒りが感じられた。
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