本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
辛辣な言葉をぶつけられても落ち込んではいないようなので、真琴はホッとしたが――。

修平が急に「待て」と声をかけた。

華奢な肩を揺らして足を止め、なにかを期待するような目でパッと振り向いた彼女に、淡白な声で問う。

「お前の名前、なんだっけ?」

「えっ......」

「今後、人事課への報告が必要になるかもしれないから聞いておく」

ほんの少しも興味を持たれていなかったという現実が、愛華の高くそびえたプライドを打ち崩したようだ。

今度は本物の涙を目に浮かべ、なにも言わずに走り去ってしまった。

「なんだあれ」

名前を聞いただけなのにと不思議そうな修平に、真琴は心の中で指摘する。

(何か月も追いかけて振り向かせようと頑張ったのに、名前さえ覚えられていないと知ったら、誰だって傷つきますよ......)

「必要になった時に調べればいいか」

結局、愛華の名前を覚えずに終わらせた修平に真琴は唖然としていたが、目が合うと胸が高鳴り、頬が勝手に色づいた。

「お忙しいのに助けに来てくれてありがとうございました」

「休憩に入ったところだから構わない。それより大丈夫か? あいつに泣くほどのことを言われたんだろ?」
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