本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「真琴は花福の仕事を好きでやっていると思っていたんだが、違うのか?」

急に話が逸れた気がして戸惑いつつも、真琴は「好きです」と自信を持って答えた。

「まだお話していませんでした。私、いずれは花福を継ぎます」

「知っている」

なぜかと思ってキョトンとしたら、修平の唇が微かに笑みを作った。

「弁当を買った看護師に、真琴が話していたのが聞こえたんだ」

すぐにピンとこなかったのは、二年ほども前の話だったからである。

たしかその時に話しかけてきたのは外来の女性看護師で、最近は見かけないので退職したのかもしれない。

『あなたが売りに来ることが多いよね。このアルバイトを続けて長いの?』

アルバイトだと勘違いされたことに腹を立てたりしないが、プライドを持って仕事をしているのでしっかり訂正はした。

『社員ですよ。花福は家業で、私が五代目を継ぐ予定なんです』

『家族経営なの。職業選択の自由がなくて嫌じゃない?』

『そういう人もいるかもしれないですけど、私は花福の仕事が好きなんです。うちの料理でお客さんが笑顔になってくれたら幸せに思います。花福の暖簾を守っていくのが私の夢で、やりたいことなんですよ』
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