本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
マンションのロビーに入った時に、コンシェルジュの女性がすぐに変化に気づいて声をかけてくれた。

玄関の姿見に顔を映した真琴は、フフッとひとり笑いをして毛先に触れる。

肩につくかつかないかの長さになった髪は、ナチュラルなオレンジブラウンにカラーリングもした。

男性美容師に『身長があるから短くするとかっこいいですね』と言われても傷つくことなく、褒め言葉として受け取れた。

小学生の時以来キープしてきたロングヘアを切ることができたのは間違いなく修平のおかげで、彼がコンプレックスを壊してくれたのだと仕事の休憩中に兄に教えた。

すると――。

『俺だって何度も言ってやっただろ。くだらない悩みだな、マコだろうが真琴だろうがお前はお前だろうって。なんでアイツにだけ感謝するんだよ』

『フォローのつもりで言ってたの? 私と喧嘩したいのかと思ってた。修平さんは落ち着いて話してくれるし、理路整然としているから心に響く』

『あの男、インテリぶって説教してんのか。ムカつくな。俺だって名前でからかわれて嫌な思いをしたことはあるけど、お前のために笑い飛ばして生きてきたんだぞ。もっと兄の偉大さを敬え』
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