本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
女性にも間違われそうな〝泉〟という名を気に入っていると思っていたので驚いた。

名前コンプレックスを誰よりわかってくれていた上で、『くだらない悩み』だと言ってくれていたらしい。

思わず胸が熱くなって兄を見直した直後に、『休憩延長したいから俺の分まで働いて』と言われて落胆したが。

修平の帰宅はきっと今日も二十二時を過ぎるだろう。

誰もいない豪華で広いリビングも見慣れてきて、エアコンを稼働させてからキッチンに立った。

修平は魚介が好きだと教えたら、母が新鮮なアサリとアジをたくさん持たせてくれたので、今日はアサリの酒蒸しとアジのなめろうにしようと思う。

手際よくアジを三枚おろしにした真琴は、包丁で叩いて細かく刻むと、生姜と長ネギ、味噌と醤油を加えて混ぜた。

同時進行で鍋に入れたアサリを火にかけ、キッチンにふんわりといい香りが立つ。

(浅漬けとワカメの酢の物、焼き茄子と揚げ出し豆腐も作ろう)

料理するのは好きなので少しも苦にならず、むしろ笑みが浮かぶ。

同居初日に夕食は外ですませるから用意しなくていいと言ってくれた修平に、真琴は昼食の弁当も含めて三食しっかり作りたいと申し出た。
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