本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
それは料理を仕事にする者のプライドからの宣言だったが、こうして修平のためにキッチンに立っていると、美味しい手料理で喜ばせたいという想いが膨らんだ。

(本当は作り立てを食べさせてあげたいけど、生活時間がずれているから難しい)

夕食を作って先に自分の食事をすませたら、二十一時になった。

お風呂に入ろうとリビングを出ようとして立ち止まり、短くなった髪に触れる。

(美容院でセットしてもらった状態の髪を、修平さんに見てもらいたい)

どんな反応をするだろうと考えたら、ワクワクと胸が高鳴る。

しかし淡白な返しをする彼のことだから、切ったことに気づいても声をかけてくれないかもしれない。

帰宅を待って感想を求め、それから入浴となれば就寝時間が遅くなり、早朝からの仕事に支障をきたす。

リビングのドア口で十数秒迷って出した結論は、自撮り画像をメールで送ることだった。

これだと美容室で整えてもらった状態の髪を見せることができるし、スルーされずにひと言ぐらい感想を送ってもらえるだろう。

自撮りするのは初めてで、何枚も写した中からマシなものを一枚選び、【髪を切ってみました】という文章を添える。
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