双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
「ああ。その時は尚吾たちも呼び寄せよう」
 そうして、文字通り大団円で楢崎家への挨拶は幕を閉じたのだった。

 同日、午後六時。私はまだ都内に滞在していた。
 雄吾さんのご実家を出たのは午後五時過ぎ。なんだかんだと話に花が咲き、夕食を一緒にどうかと誘われかけたところ、雄吾さんが丁重に断って私たちはご実家を後にした。
 それからどこへ移動したかというと――。
「わあ......あまり変わってないような?」
「そうかもね。なんとなく、ずっとこのまま」
 雄吾さんのマンションだ。
 神奈川の実家で両親と一緒に子どもたちの面倒をみてくれている海斗に報告を兼ねて連絡したら、『せっかくだから少しデート楽しんできたら』と言われた。
 お言葉に甘えて、もう少しだけ一緒にいようかという流れになったのだ。
「このダイニングテーブルも、春奈が『ちょうどいい』って笑ってくれた思い出があったし、読書スペースも僕っぽいって言っていたからそのまま」
「なんか、センチメンタルになっちゃう」
 もう過去のことで、この先は一緒に歩んで行こうと誓ってもなお、やっぱり記憶に残っている部分はある。
 ここを最後に訪れたのは、私がスマートフォンを見て誤解した日だったから余計に。
「さ。時間もないし、キッチン借り、る」
「うれしいよ。またここで春奈の姿が見られるなんて」
 気持ちを切り替えた時に、背中から雄吾さんに抱きしめられる。
 耳介で囁かれる低い声。艶っぽい声音に、思わず反応してしまった。すると、雄吾さんのスイッチに触れてしまったのか、彼はその体勢のまま唇を重ねる。
「んっ、ん、あ」
 雄吾さんのご両親への挨拶を終えたからか、私はすぐに気が抜け、快楽に酔わされる。彼の与えてくれるじれったい刺激が、あっという間に私を甘く溺れさせていく。
 静かなリビングには、ちゅ、ちゅっと唇が奏でる音が途切れず続く。そのうち、彼の手が胸のあたりに伸びてきて、ブラウスの一番目のボタンを外された。
 次の瞬間、彼の動きがピタリと止む。
「これって」
「あ......。ええと、今日はお守り的な感じで着けてきてて」
 今日は一日いろいろと余裕がなくて忘れていた。
 雄吾さんが気づいて驚いているのは、過去に彼から『お土産』と言われて受け取った真珠のネックレス。
「捨てずに持っていてくれたの?」
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