双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
「はい。あの日も、君は俺にペンを拾ってくれて。こうしてカウンター席に座っていた僕の元に、新商品のお菓子を配りに来てくれた時のことなんですが」
そういうことがあったような、なかったような......。
「いつも一生懸命ドリンクを用意して、楽しそうに接客している君を見て、自分も頑張ろうって密かに勇気をもらっていたんです」
「なんか......すみません。ありがとうございます! そんなふうに思っていただいて光栄です」
数年前の自分が誰かに元気を与えていたとは思いもしない。
アルバイトのきっかけはカフェの雰囲気やオシャレさだったが、私は接客業のやりがいも感じていた。だからこそ、私の接客が彼の気持ちにいい方向で影響を与えていたのならうれしい。
それにしても......。
「だけど自分が信じられません。あなたみたいな一度見たら忘れられないほどカッコいい方を覚えていないだなんて」
今、改めて隣に座る彼を見る。
やっぱり一瞬で目を奪われるほどの美貌の持ち主だ。これだけの顔立ちなら、数年前でも印象には残りそうなもの。仮に体型が大きく変わったとかいう話だったとしても、どこかしら面影は残っていそうなのに、なぜ。
彼は私のぼやきに「ふふっ」と笑いをこぼす。
「ペンの受け渡し以外になにか会話したわけでもないですから。それに僕、当時仕事に追われていて。多分、普段から顔を上げる余裕もなかったと思うので」
軽く握った右手を口元に添えて優しい眼差しを向ける彼に、私は釘付けだった。なんなら頬が赤くなってしまっているかもしれない。
ホットココアを飲むくらいしかごまかす方法がなくて、私は頻りにカップを口に運んでいた。
「あの――」
彼がなにか言いかけたタイミングで、後ろを通ろうとしていたほかのお客さんに軽くぶつかられた。互いに「すみません」と謝って、私はカウンターチェアを引く。
「大丈夫ですか?」
「はい。ああ、混み合う時間みたいですね」
心配してくれる彼に会釈して返し、ふと店内とレジ付近を見やるといつの間にかお客さんで賑わっていた。席ももうカウンター席ですらいっぱいになっている。
「すみません。私、そろそろ出ますね。これ、ありがとうございました」
そういうことがあったような、なかったような......。
「いつも一生懸命ドリンクを用意して、楽しそうに接客している君を見て、自分も頑張ろうって密かに勇気をもらっていたんです」
「なんか......すみません。ありがとうございます! そんなふうに思っていただいて光栄です」
数年前の自分が誰かに元気を与えていたとは思いもしない。
アルバイトのきっかけはカフェの雰囲気やオシャレさだったが、私は接客業のやりがいも感じていた。だからこそ、私の接客が彼の気持ちにいい方向で影響を与えていたのならうれしい。
それにしても......。
「だけど自分が信じられません。あなたみたいな一度見たら忘れられないほどカッコいい方を覚えていないだなんて」
今、改めて隣に座る彼を見る。
やっぱり一瞬で目を奪われるほどの美貌の持ち主だ。これだけの顔立ちなら、数年前でも印象には残りそうなもの。仮に体型が大きく変わったとかいう話だったとしても、どこかしら面影は残っていそうなのに、なぜ。
彼は私のぼやきに「ふふっ」と笑いをこぼす。
「ペンの受け渡し以外になにか会話したわけでもないですから。それに僕、当時仕事に追われていて。多分、普段から顔を上げる余裕もなかったと思うので」
軽く握った右手を口元に添えて優しい眼差しを向ける彼に、私は釘付けだった。なんなら頬が赤くなってしまっているかもしれない。
ホットココアを飲むくらいしかごまかす方法がなくて、私は頻りにカップを口に運んでいた。
「あの――」
彼がなにか言いかけたタイミングで、後ろを通ろうとしていたほかのお客さんに軽くぶつかられた。互いに「すみません」と謝って、私はカウンターチェアを引く。
「大丈夫ですか?」
「はい。ああ、混み合う時間みたいですね」
心配してくれる彼に会釈して返し、ふと店内とレジ付近を見やるといつの間にかお客さんで賑わっていた。席ももうカウンター席ですらいっぱいになっている。
「すみません。私、そろそろ出ますね。これ、ありがとうございました」