双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
席を立った私は、いただいたバウムクーヘンを手に取って深々と頭を下げる。お菓子をバッグにしまってからホットココアを片手に店をあとにしようと思った瞬間、腕を掴まれた。
「待って!」
「えっ」
驚いて振り返ると、彼もまた椅子から立ち上がっている。
「僕も一緒に出ます」
そして彼はまだほとんど飲んでいないであろうドリンクを持って、私と一緒に店外に出た。てっきり店内でお別れだと思っていたため、動揺する。
これはたまたま出ようと思ったタイミングが重なっただけであって、別に彼は私を追って出てきたわけじゃない。
変な期待をしてしまいそうな自分に釘を刺し、改めて別れの挨拶を交わそうと彼と向き合う。しかし、先に口を開いたのは向こうだった。
「よければ今週の日曜に、コーヒーを飲みに行きませんか?」
急な誘いに目を白黒させる。私が声も出せずに固まっていたせいか、彼は少し慌てた様子で続けた。
「すみません。お時間がないのだと思って、つい先急ぎました」
「い、いえ。時間は大丈夫ですけど......唐突だったもので」
「そうなんですか? てっきりご予定があって店を出たとばかり」
「ああ! それは店内が混雑し始めたので一席でも譲ったほうがいいかと思って」
私が急いでいると思って言ったから唐突にもなったんだ。
彼はぽかんとした後、くすくすと笑う。
「そういうことですか。よく周りを見ているんですね。それに、気遣いも素晴らしい」
「いえいえ! そんなに褒められるようなことではなく......」
面と向かってストレートに『素晴らしい』だなんて、これまでの人生で一度も言われた記憶がない。私は謙遜して首を横に振って返した。
本当に彼は不思議な人だ。普通、ここまで大袈裟に言われたらどこか胡散くささを感じて警戒するところ。だけど、あまりに優しい面差しのせいか、品のある立ち振る舞いのためか、彼の言葉を額面通り受け取ってしまいそうになる。
高鳴る胸に気づかぬふりを決め込んで、冷静に対応しようと気持ちを整えていたとき、彼の視線がふっと私の胸元に落ちた。つられて私も目を落とす。そこには、一度彼に貸したボールペン。
「君と会ったことはなにかの縁かと思っていて、ついお誘いせずにいられず声をかけてしまった」
ドキドキする心臓、落ち着いて。都合よく解釈したらダメ。こんなドラマみたいな展開――。
「待って!」
「えっ」
驚いて振り返ると、彼もまた椅子から立ち上がっている。
「僕も一緒に出ます」
そして彼はまだほとんど飲んでいないであろうドリンクを持って、私と一緒に店外に出た。てっきり店内でお別れだと思っていたため、動揺する。
これはたまたま出ようと思ったタイミングが重なっただけであって、別に彼は私を追って出てきたわけじゃない。
変な期待をしてしまいそうな自分に釘を刺し、改めて別れの挨拶を交わそうと彼と向き合う。しかし、先に口を開いたのは向こうだった。
「よければ今週の日曜に、コーヒーを飲みに行きませんか?」
急な誘いに目を白黒させる。私が声も出せずに固まっていたせいか、彼は少し慌てた様子で続けた。
「すみません。お時間がないのだと思って、つい先急ぎました」
「い、いえ。時間は大丈夫ですけど......唐突だったもので」
「そうなんですか? てっきりご予定があって店を出たとばかり」
「ああ! それは店内が混雑し始めたので一席でも譲ったほうがいいかと思って」
私が急いでいると思って言ったから唐突にもなったんだ。
彼はぽかんとした後、くすくすと笑う。
「そういうことですか。よく周りを見ているんですね。それに、気遣いも素晴らしい」
「いえいえ! そんなに褒められるようなことではなく......」
面と向かってストレートに『素晴らしい』だなんて、これまでの人生で一度も言われた記憶がない。私は謙遜して首を横に振って返した。
本当に彼は不思議な人だ。普通、ここまで大袈裟に言われたらどこか胡散くささを感じて警戒するところ。だけど、あまりに優しい面差しのせいか、品のある立ち振る舞いのためか、彼の言葉を額面通り受け取ってしまいそうになる。
高鳴る胸に気づかぬふりを決め込んで、冷静に対応しようと気持ちを整えていたとき、彼の視線がふっと私の胸元に落ちた。つられて私も目を落とす。そこには、一度彼に貸したボールペン。
「君と会ったことはなにかの縁かと思っていて、ついお誘いせずにいられず声をかけてしまった」
ドキドキする心臓、落ち着いて。都合よく解釈したらダメ。こんなドラマみたいな展開――。