双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
「それはどうか......やめてください。銀行に行けばありますから」
脅されて言われるがままになりそうな女性に、私はすかさず声をかける。
「おばあちゃん、落ち着いてください」
「お前、すっこんでろよ!」
「きゃっ」
男性に肩を押され、バランスを崩して後ずさる。しかし、すぐに私の身体を楢崎さんが支えてくれた。彼は私を背に回し、男性と対峙する。
「なに? もう当事者だけで解決するから構わないでほしいんだけど」
「この短時間で詐欺罪、恐喝罪......それに加え、たった今暴行罪も加わった。余罪があるなら実刑ってことも十分ありえるな」
私は楢崎さんの背後にいるから、彼の表情はわからない。けれども、彼らしからぬ低く冷やかな声音に一気に緊張感が増すのを感じた。
「は? なに言って......」
「そのスマートフォン。先週出たばかりの新しい機種だと言っていたが、それ、昨年のモデルだ」
楢崎さんの指摘に、男性は先ほどまでこれ見よがしに女性にちらつかせていた壊れたスマートフォンを即刻隠す。
「とはいえ、確かに今やスマートフォンは高価で価値もあるものだろうから、ここはきちんと警察にお願いして処理してもらおう。ご婦人もよろしいですか? 僕たちも付き添いますので」
楢崎さんは終始感情的にならずに淡々としている。その冷静な雰囲気に女性も心強く思ったのか、安堵した顔で「よろしくお願いします」と丁寧に頭を下げている。
すると、男性が尋常じゃないほど狼狽えて私たちから距離を取り始める。
「い、いや! 警察まではいい! っつーか、今回はもういいから!」
そうして背を向けて走り去り、あっという間にいなくなってしまった。
茫然と立ち尽くしていると、楢崎さんが「ふう」と息をついてつぶやく。
「念のため、警察に連絡はしたほうがよさそうだな」
その後、女性にも許可を得て警察に通報し、私たちは一連の騒動の説明を終えて現場を後にした。
気づけばもう七時前で、空も暗くなってしまっている。
私はさっきの事件のせいでなんとも言えない気持ちを抱えたまま、楢崎さんと駐車場まで歩いた。その間彼もまた無言で、私と同様の心境なのだと思っていた。
助手席に乗りモヤモヤしていると、楢崎さんが口を開く。
「真面目さゆえの正義感なのかな。すごくハラハラした」
脅されて言われるがままになりそうな女性に、私はすかさず声をかける。
「おばあちゃん、落ち着いてください」
「お前、すっこんでろよ!」
「きゃっ」
男性に肩を押され、バランスを崩して後ずさる。しかし、すぐに私の身体を楢崎さんが支えてくれた。彼は私を背に回し、男性と対峙する。
「なに? もう当事者だけで解決するから構わないでほしいんだけど」
「この短時間で詐欺罪、恐喝罪......それに加え、たった今暴行罪も加わった。余罪があるなら実刑ってことも十分ありえるな」
私は楢崎さんの背後にいるから、彼の表情はわからない。けれども、彼らしからぬ低く冷やかな声音に一気に緊張感が増すのを感じた。
「は? なに言って......」
「そのスマートフォン。先週出たばかりの新しい機種だと言っていたが、それ、昨年のモデルだ」
楢崎さんの指摘に、男性は先ほどまでこれ見よがしに女性にちらつかせていた壊れたスマートフォンを即刻隠す。
「とはいえ、確かに今やスマートフォンは高価で価値もあるものだろうから、ここはきちんと警察にお願いして処理してもらおう。ご婦人もよろしいですか? 僕たちも付き添いますので」
楢崎さんは終始感情的にならずに淡々としている。その冷静な雰囲気に女性も心強く思ったのか、安堵した顔で「よろしくお願いします」と丁寧に頭を下げている。
すると、男性が尋常じゃないほど狼狽えて私たちから距離を取り始める。
「い、いや! 警察まではいい! っつーか、今回はもういいから!」
そうして背を向けて走り去り、あっという間にいなくなってしまった。
茫然と立ち尽くしていると、楢崎さんが「ふう」と息をついてつぶやく。
「念のため、警察に連絡はしたほうがよさそうだな」
その後、女性にも許可を得て警察に通報し、私たちは一連の騒動の説明を終えて現場を後にした。
気づけばもう七時前で、空も暗くなってしまっている。
私はさっきの事件のせいでなんとも言えない気持ちを抱えたまま、楢崎さんと駐車場まで歩いた。その間彼もまた無言で、私と同様の心境なのだと思っていた。
助手席に乗りモヤモヤしていると、楢崎さんが口を開く。
「真面目さゆえの正義感なのかな。すごくハラハラした」