双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
 もう、真実がわからない。
 宇田川さんから聞いた縁談の行方や、雄吾さんの行動の理由も。
 彼は女性を騙す人じゃない。信じている。でも、それならそんな彼が自分の車で彼女を自宅まで送り、帰り際に花束をプレゼントする事情って?
 頭の中でぐるぐると考えが回るも、答えは一向に導き出せないままだった。

 裏切られた、だなんて思っていない。
 この数か月一緒にいて、どうやっても彼が女性をたぶらかすような人とは思えないから。
 だけど今、彼としっかり膝を突き合わせて話をするまでのメンタルは持ち合わせていない。雄吾さんのスマートフォンを見て以降、胸がざわつくことが続きすぎたせいだと思う。
 まったく、自分が恋愛に振り回され、日常に支障をきたすタイプだとは。
 恥ずかしいやら情けないやらで、私は自宅アパートのベッドに横たわり、天井を見ていた。
 一日経った今日、出社しようと思って家を出たら、駅のホームで立ちくらみがして倒れてしまった。駅員室で少し休ませてもらい、会社に連絡をしたら休んでいいと言われ、ふらつきながらも自宅に引き返してきたのだ。
 ああ、部署のみんなに迷惑をかけてしまった。申し訳ない。それに、今夜は雄吾さんと会う予定だったのに。
 コロンと身体を横に向け、一点を見つめて考える。
 彼へはさっき、メッセージで事情を送っておいた。
 なるべく深刻にならないように、季節の変わり目もあってちょっと体調を崩しただけだと。
 あ。それともうひとつ理由はあるかも。月のものが......そうだ。備品が切れそうなんだった。買い物に行っておこう。ついでにゼリー飲料とか冷凍食品とかも用意しておこう。
 むくりと身体を起こし、近くのドラッグストアへ向かう。
 カゴの中へ、念のための経口補水液、風邪薬と少しお高めの栄養剤を入れていく。それからついでに、と洗濯洗剤やゴミ袋も追加し、目的のひとつだった生理用品のコーナーに足を踏み入れた。
 愛用しているメーカーの商品を探していくうち、ふと気づく。しばらくの間、商品棚と向き合って固まり、スイッチが入ったようにカゴを足元に置いてスマートフォンを取り出す。スケジュールアプリを開き、先月と今月を何度も行き来した。
 今月、まだ来てない。予定は......五日前?
 瞬間、ドクッと心臓が震える。
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