監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時
アップルパイ、ズコット、タルト、マカロン、シュークリームなどたくさんのお菓子が並べられ、きっと楽しい時間になるだろう。誰もがそう信じていた。だが、危険は安堵した瞬間にやってくる。

「フッフッフッ……のん気なものだ」

まるで喜劇を楽しむような声が響き、冬都たちは一斉に窓の外に目を向ける。そこにはロイドが立っていた。ニヤリと笑ったその顔に、冬都の体にゾクリと寒気が走る。冬都たちが暮らす世界からフォルトゥナに戻ってきたのだ。

「……ロイド!」

アイビーとソラが武器を構え、冬都たちも臨戦体制を取る。それを見て、ロイドは愉快そうに笑った。

「いい目だ。そんなお前たちに特別なステージを用意してやろう!!」

そう言った後、ロイドは呪文を唱える。すると紫の煙が杖からモクモクと上がり、屋敷を包んでいく。

「何なの、この魔法!」

「……こんな魔法、見たことがない……」

楓と紫月が声を上げ、ルカたちも不安そうな瞳をしていた。だがーーー。
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