冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】
「なに笑ってるんだ」
「なんでもありません。いただきます」


私はコーヒーを受け取り、早速ガムシロとミルクを全部入れて口に運んだ。


「あー、おいしい」


仕事のあとの一杯といったところだろうか。格別だ。


「苦いのが嫌いなら、ジュースでも飲んでおけばいいだろ」


パソコンの画面を覗き込んで、できあがった報告書を確認しながら彼は言う。


「嫌いじゃないんですよ。ただ苦すぎるのが嫌なだけで」
「苦いのがコーヒーだ」


彼はいつものように淡々と話す。


「それを言われるとなんとも」
「変なやつ」


ばっさり斬り捨てた彼は、「ここ」ととある場所を指さした。


「あ、誤字。すみません」


慌てて打ち直すと、「それと」と強い視線を送られて背筋が伸びる。

誤字どころではなく、この資料自体にダメ出しされる恐れがあるからだ。

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