冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】
実際『いちからやり直し』のひと言で泣いている部員はたくさんいる。
幸い私はそこまでの宣告はまだ受けていない。


「これ、保存してるか?」
「あっ!」


自動保存にしておいたつもりだったのに、いつの間にかオフになっていて血の気が引く。

気づかずに閉じたら、今日の残業が無駄になるところだった。


「危機管理能力が低い」
「すみません」


この部署は会社の危機管理の最後の砦なのに。

冷や汗たらたらで謝罪すると、彼は意外にも口角を上げる。

こんな柔らかい表情もするんだ……。

意外すぎて驚いたのと同時に、心臓がドクッと大きな音を立てた。


「人間はサイボーグじゃない。集中できる時間に限りがある。自分の限界を知っておくのも大切だ」


その通りだけれど、不動産投資企画部でサイボーグに最も近いのはおそらく秋月さんだ。

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