冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】

ただ、彼はその限界が私たちと比べてとんでもなく高いのかもしれない。


「わかりました」
「限界を超えているわりにはよくできている」


私が何時間もかけて作った資料をあっという間にチェックし終えた彼がそう言うので、きょとんとする。


「どうした？」

「……ダメ出しが来ると思っていたので、気が抜けました」

「ダメなところがないのにダメ出しなんてするか。それほど無駄な仕事はない」


反論の余地もない。

ただ、中にはマウントを取りたいがために必死に間違いを探して、それが見つからないときは難癖をつけてくる人もいる。

この部署には幸いいないが、他部署に顔を出すとそういう人をよく見かける。

この商業ビルのように、いちから計画練り直しになる指示を出す不動産投資企画部は、会社の中でも嫌われ者だ。