これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
いつものように表紙にはカバーを掛けていたけれど、鞄の中から教科書と一緒にばら撒いてしまった拍子に、運悪く肌色全開な男性同士のまぐわうシーンが弘樹の目に映った。

高校生でこんな本を読んでいるなんてと、軽蔑されると覚悟した。
軽蔑されるくらいならまだいいほうで、下手したら変な噂が広がって次の日から学校へ行けなくなるのではと最悪な事態を想像したけれど、弘樹は馬鹿にするどころか逆にBL本に興味を持ってくれたのだ。それどころか、本を貸してと言い出し、意気投合したのが仲良くなったきっかけだ。

同じく弘樹も、その頃セクシャルな面で悩んでいた。そのことをカミングアウトしてくれたとき、私は現実世界にもBLが実在することに感動した。
私の性癖ドストライクなカミングアウトを聞いた途端、思わず両手を伸ばして握手を求めたくらいだ。
弘樹は私が予想外の反応を示したことに安堵し、それ以来お互いの秘密を共有したもの同士、励まし合いながら生きてきた。

お互いが良き理解者で、一緒にいるのは楽だけど、そこに恋愛感情などは一切ない。
バイセクシャルな弘樹が好きになる相手は、マッチョな逞しい男性や気の強い女性だったりと、その時々で全然違う。
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