ラスボス聖女に転生してしまいました~婚約破棄され破滅する運命なので、生き延びるため隣国で錬金術を極めます~
はにかみながら、とりとめのない会話をするのはやはり私の緊張を解すためだろうか。
レオンハルト様との会話は弾む。柔らかく包み込むように優しく語りかける口調は安心感があり、癒やされる。
「ああ、妹さんがいらっしゃるんでしたね。確か名前はシェリア・エルマイヤーさん。彼女も聖女ですよね?」
「妹をご存じなんですか?」
「ご存じもなにも。フェネキス王国の三人の聖女の名前はこちらの国でも有名ですよ。リルアさんとシェリアさんの姉妹。そしてフェネキス王国の第三王女であるアルビナス・フェネキス殿下」
言われてみれば聖女がいないとはいえ聖女信仰の厚いアルゲニア王国の公爵であるレオンハルト様が聖女の名前を知らぬはずがない。
そう。我が故郷には三人の聖女がいる。
私たち姉妹と生まれながらにして神託を受けていたという逸話のある天才、アルビナス殿下。
アルビナス殿下は齢十歳にして私たち姉妹よりも強い魔力を有しており、国の結界の七割が彼女によるものというゲーム内でも最強クラスのキャラクターだった。
エルドラド殿下のコンプレックスの原因は国家的英雄である彼女の存在も大きいのだろう。
そんな彼女の存在があるからこそ、国王陛下も貴重な人材である聖女を一人切り捨てることに抵抗がなかったとも言える。
もしも私が他の国の人間だったら、もう少し魔王の後継者であるという問題を根底から解決しようと動いたであろう。
「それでもアルビナス殿下はともかくとして、私たち姉妹のことまで知っていただけて光栄です」
「あはは、先ほど僕も同じことを言いましたね。それではこのお話はおあいこということで」
「おあいこ、ですか?」
「ええ、なんだか嬉しいじゃないですか。お互いに異国にいながらにしてお互いのことを知っていた。それだけでも今日の出会いは素敵なものだと思います」
ケーキを一口大にフォークで切って、口に運ぼうとしながらレオンハルト様は大げさなことを言う。
(本当に素敵な出会いならよかった。でもおそらく私は彼にとっての死神)
ゲームのシナリオどおりにことが進むとなると、私はこの錬金公爵レオンハルトを殺してしまう。
作中屈指のチートキャラクターですら、ラスボスである魔王リルアにとっては噛ませ犬でしかなかったのだ。
レオンハルト様との会話は弾む。柔らかく包み込むように優しく語りかける口調は安心感があり、癒やされる。
「ああ、妹さんがいらっしゃるんでしたね。確か名前はシェリア・エルマイヤーさん。彼女も聖女ですよね?」
「妹をご存じなんですか?」
「ご存じもなにも。フェネキス王国の三人の聖女の名前はこちらの国でも有名ですよ。リルアさんとシェリアさんの姉妹。そしてフェネキス王国の第三王女であるアルビナス・フェネキス殿下」
言われてみれば聖女がいないとはいえ聖女信仰の厚いアルゲニア王国の公爵であるレオンハルト様が聖女の名前を知らぬはずがない。
そう。我が故郷には三人の聖女がいる。
私たち姉妹と生まれながらにして神託を受けていたという逸話のある天才、アルビナス殿下。
アルビナス殿下は齢十歳にして私たち姉妹よりも強い魔力を有しており、国の結界の七割が彼女によるものというゲーム内でも最強クラスのキャラクターだった。
エルドラド殿下のコンプレックスの原因は国家的英雄である彼女の存在も大きいのだろう。
そんな彼女の存在があるからこそ、国王陛下も貴重な人材である聖女を一人切り捨てることに抵抗がなかったとも言える。
もしも私が他の国の人間だったら、もう少し魔王の後継者であるという問題を根底から解決しようと動いたであろう。
「それでもアルビナス殿下はともかくとして、私たち姉妹のことまで知っていただけて光栄です」
「あはは、先ほど僕も同じことを言いましたね。それではこのお話はおあいこということで」
「おあいこ、ですか?」
「ええ、なんだか嬉しいじゃないですか。お互いに異国にいながらにしてお互いのことを知っていた。それだけでも今日の出会いは素敵なものだと思います」
ケーキを一口大にフォークで切って、口に運ぼうとしながらレオンハルト様は大げさなことを言う。
(本当に素敵な出会いならよかった。でもおそらく私は彼にとっての死神)
ゲームのシナリオどおりにことが進むとなると、私はこの錬金公爵レオンハルトを殺してしまう。
作中屈指のチートキャラクターですら、ラスボスである魔王リルアにとっては噛ませ犬でしかなかったのだ。