ラスボス聖女に転生してしまいました~婚約破棄され破滅する運命なので、生き延びるため隣国で錬金術を極めます~
魔王の力というものが彼の目算を上回り、悲劇が起こることを私は知っている。
その悲劇の中にはリルアを魔王にさせぬために尽力してくれたレオンハルト様自体が殺されてしまうことも含んでいる。
(まったく救いがないじゃない)
最愛の妹に殺される運命にあるラスボス聖女ってだけでも十分悲劇的なのに、その上自分を助けようとしてくれる人まで殺すだなんて……。
まぁ、レオンハルト様が仮にシェリアのパーティーに入るなんていうシナリオにしたら彼がチートすぎるからとりあえず殺しておこう、みたいな感じでこんなシナリオになったんだろう。
ただ、まるっきり無駄死にではなく、シェリアが勝てたのはレオンハルトが命と引き換えに錬金術を使って魔王の魔力を半減させていたから、みたいなフォローも入っていたし……。
彼も彼で指をくわえていたのではなく見えないところで試行錯誤していたのだろう。
つまり自分の中に眠る魔王という存在はそれだけ厄介極まりない存在なのである。
(目の前で笑顔を見せる錬金公爵は私によって殺される。それを意識すればするほど自己嫌悪だわ)
殺されるのも嫌だし、殺すのはもっと嫌だ。
ここにきてレオンハルト様のすごさはわかったつもりだし、彼の度量の大きさもわかったが、それゆえに私はこの先の自分の行く末を考えると憂鬱でたまらない。
「リルアさん?」
「あ、はい。すみません。ボーッとしてしまいました」
いけない。いけない。つい物思いにふけってしまって、レオンハルト様の呼びかけにも気が付かなかった。
「いえいえ、長旅でお疲れにも関わらずこのように休ませもせず話に付き合わせてしまったのです。謝罪をするのは僕のほうですよ」
「あ、いえ。多少の疲労感はありましたが、紅茶とケーキのおかげで癒やされました」
「そうですか。それはなによりです」
随分と気を遣わせてしまっている。
彼を困らせたくはなかったので申し訳ないと思った。
(はぁ、受け身になっているだけじゃダメね。私も考えなくちゃ。やっぱりこのまま流されて悲劇を甘受するなんてできない)
そうだ。前世も流されるままでなにもしなかったから、判断力を失って死んでしまったのだ。
この二度目の人生も前世と同じ轍を踏むのだけはやめよう。
その悲劇の中にはリルアを魔王にさせぬために尽力してくれたレオンハルト様自体が殺されてしまうことも含んでいる。
(まったく救いがないじゃない)
最愛の妹に殺される運命にあるラスボス聖女ってだけでも十分悲劇的なのに、その上自分を助けようとしてくれる人まで殺すだなんて……。
まぁ、レオンハルト様が仮にシェリアのパーティーに入るなんていうシナリオにしたら彼がチートすぎるからとりあえず殺しておこう、みたいな感じでこんなシナリオになったんだろう。
ただ、まるっきり無駄死にではなく、シェリアが勝てたのはレオンハルトが命と引き換えに錬金術を使って魔王の魔力を半減させていたから、みたいなフォローも入っていたし……。
彼も彼で指をくわえていたのではなく見えないところで試行錯誤していたのだろう。
つまり自分の中に眠る魔王という存在はそれだけ厄介極まりない存在なのである。
(目の前で笑顔を見せる錬金公爵は私によって殺される。それを意識すればするほど自己嫌悪だわ)
殺されるのも嫌だし、殺すのはもっと嫌だ。
ここにきてレオンハルト様のすごさはわかったつもりだし、彼の度量の大きさもわかったが、それゆえに私はこの先の自分の行く末を考えると憂鬱でたまらない。
「リルアさん?」
「あ、はい。すみません。ボーッとしてしまいました」
いけない。いけない。つい物思いにふけってしまって、レオンハルト様の呼びかけにも気が付かなかった。
「いえいえ、長旅でお疲れにも関わらずこのように休ませもせず話に付き合わせてしまったのです。謝罪をするのは僕のほうですよ」
「あ、いえ。多少の疲労感はありましたが、紅茶とケーキのおかげで癒やされました」
「そうですか。それはなによりです」
随分と気を遣わせてしまっている。
彼を困らせたくはなかったので申し訳ないと思った。
(はぁ、受け身になっているだけじゃダメね。私も考えなくちゃ。やっぱりこのまま流されて悲劇を甘受するなんてできない)
そうだ。前世も流されるままでなにもしなかったから、判断力を失って死んでしまったのだ。
この二度目の人生も前世と同じ轍を踏むのだけはやめよう。