円満夫婦ではなかったので
園香の記憶がある頃の話。
「へんね。大事になった割には私は知らなかったんだけど」
園香は社内のプライベート色が強い噂に関してはあまり詳しくない。
興味がないと言うよりも、経営者の娘が必要以上に個人的な問題に踏み込んだら相手が不快になるかもしれないと、気を遣っているからだ。
それでも大事になったのなら、同期の友人あたりから話が伝わって来るだろう。
「家族を巻き込む不倫だったら弁護士だって入っていたんじゃないの?」
「最終的には代理人同士のやり取りになった。男の方の家庭は子供が生まれたばかりだった。そこに不倫騒動で妻が不安定になってしまい会社のコンプライアンス窓口に実名で連絡までしてきた」
「それは……大変だわ。でもコンプライアンス担当への相談内容は極秘だから、周りには知られないと思うけど」
「そうだ。だがソラオカ側の対応を待ちきれなかった妻が乗り込んで来たんだ。妻は夫のメッセージアプリを見て、相手が取り引き先の名木沢希咲であると知っていたからソラオカ内部で問題にして欲しがった」
「へんね。大事になった割には私は知らなかったんだけど」
園香は社内のプライベート色が強い噂に関してはあまり詳しくない。
興味がないと言うよりも、経営者の娘が必要以上に個人的な問題に踏み込んだら相手が不快になるかもしれないと、気を遣っているからだ。
それでも大事になったのなら、同期の友人あたりから話が伝わって来るだろう。
「家族を巻き込む不倫だったら弁護士だって入っていたんじゃないの?」
「最終的には代理人同士のやり取りになった。男の方の家庭は子供が生まれたばかりだった。そこに不倫騒動で妻が不安定になってしまい会社のコンプライアンス窓口に実名で連絡までしてきた」
「それは……大変だわ。でもコンプライアンス担当への相談内容は極秘だから、周りには知られないと思うけど」
「そうだ。だがソラオカ側の対応を待ちきれなかった妻が乗り込んで来たんだ。妻は夫のメッセージアプリを見て、相手が取り引き先の名木沢希咲であると知っていたからソラオカ内部で問題にして欲しがった」