円満夫婦ではなかったので

「園香、皿をとって!」

途中園香をこき使うのを忘れない。焼きあがったとき園香はすっかり疲れ果てていた。

「いただきます」

ようやく椅子に座れる。園香はふたり分の冷たいビールをテーブルに置いてから席に着く。

「あれ? ビールなの?」

「うん。お酒はそれしかないから」

つべこべ言わず飲んでくれと言外に滲ませると、瑞記は仕方なさそうにグラスを手に取る。

「うん、上手い!」

瑞記はよほど好物なのか、機嫌良さそうに勢いよく食べる。その様子を見ていたら園香の気持ちも和らいで来た。

(振り回されてイライラもしたけど、こんなに喜んでいるならよかったかな。それに彼なりに歩み寄ってくれてるんだよね)

伝わりづらいけれど、瑞記なりに夫婦の関係がよくなるように、考えているのかもしれない。

「そう言えば、仕事は断ったんだよな?」

当然のように言われ、園香は戸惑う。

「断ってないけど。予定通り明後日から勤務よ」

「は?」

瑞記の顔色ががらりと変わった。
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