ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
相応しい行動?
お継母さんやキララにも同じ言葉を言ってあげたら?
チクリと言ってやりたかったが、止めておいた。
朝っぱらから嫌な気分になりたくないし、なによりこれ以上監視を厳しくされては適わない。
特に、これからは。
一体何をどこまでチェックされているのかわからないけど……気を付けよう。
「……ちょっと女友達と飲み明かしちゃっただけですから」
ポーカーフェイスでそれだけ言うと、塩沢さんは薄笑いを浮かべ、無言で前を向いた。全然信じてはいないようだが、とりあえずこの場で追及する気はないらしい。
車列はどうやら、通勤ラッシュの渋滞に巻き込まれたようだ。
なかなか進まない車の中から疲れた視線を窓の外へやれば、新緑の揺れる歩道を通勤や通学途中らしい人たちが歩いていくのが見えた。
友達や恋人と笑い合う人、音楽を聴いてる人、歩きスマホの人……
その間を縫って、小学校の低学年くらいだろうか。
ランドセルを背負った女の子が一人、元気いっぱい跳ねるように駆けていく。
あんな時代が自分にもあったんだなぁと、笑みがこぼれた。
あんな風に、何も憂うことなく……
柔らかな座席に体重を乗せた私は、そっとその光景から目を逸らした。