ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「え、そう、だけど……なんでそんなこと聞くの?」

嫌な予感がした。
私の勤務先で彼女が興味を持ちそうなことと言えば……

「副社長の村瀬貴志さんっているでしょう? どんな人かなって思って」

大当たりだ。
「……どんなって言われても」

「女優とかモデルとか侍らせてるものすごいイケメンだっていうけど、パーティーの類には出てこないし、マスコミの写真はモザイクかかってるし、情報が少なすぎるのよねー。却って興味が沸くじゃない? 実はあのタワマンにね、彼が住んでるっていう噂があるの。もしかしたら、ジムとかでバッタリ遭遇しちゃって、何かが起こるかも~♪」

ドクンッ――胸の奥、鼓動が不穏に揺れた。

「何かって、何?」

かすれた声で問いただす私を、意味ありげな眼差しが見上げてくる。

「そりゃ、何か、よ。お姉ちゃんももうアラサーなんだから、そこらへん察してよ」

「何言ってるの。キララは佐々木君と結婚するんでしょう? ふ、不倫するっていうの?」

「いやね、変なこと考えないで。そんなこと言ってないでしょ? 仲良くできたらいいな、ってだけじゃないの」

仲良く? 仲良く、何をするつもりなのよっ。

「あ、そうだ。お姉ちゃんも一緒に来る?」

「は?」

「見せてあげる、あたしの新居。乗って乗ってー」


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